2008年3月、タイ−ビルマ国境の難民キャンプを訪れた私はある一人の少年と出会った。
厳しい環境の中でも、明るく元気に生きているように私の目には映った。
しかし、滞在するにつれ、自由を制限され、社会参加できずに漫然と時を過ごす難民たちの姿とその現状に直面した。市場経済の波が押し寄せはじめた難民キャンプは、静けさを失い騒がしくなりはじめた。
そんなキャンプで生きる子どもたちの将来にも不安を感じずにはいられなくなった。
この作品は難民キャンプで生まれ育った一人の少年の日常と、教育現場を約2年に渡って取材し、
「時流の中にある、移り変わっていくもの」「戦いが終わらない理由とは何か」を追った作品です。
直井里予(なおい・りよ)
1970年茨城県ひたちなか市生まれ。
ワシントン州立大学コミュニケーション学部修士課程修了。
アジアプレス・インターナショナル所属(www.asiapress.org)。
1999年からタイ在住。2001〜2005年にタイ北部にて
HIV陽性者のドキュメンタリー映画
『Yesterday Today Tomorrow 〜昨日 今日 そして明日へ・・・』
(2005)を
製作。
台湾国際ドキュメンタリー映画祭2006で
「審査員特別賞・アジア部門」を受賞。日本とタイの約100か所で自主上映された。
釜山国際映画祭の助成基金受賞作品、続編『アンナの道〜私からあなたへ・・・』(2009)は、
2010年10月から国内一般上映を開始。
同時期に、初の著書『アンナの道−HIVとともにタイに生きる』(岩波書店)の出版とビルマ難民のドキュメンタリー映画『OUR LIFE』の上映を控える。
現在、ドキュメンタリー映画第4作目『バンコク物語(仮)』を製作中。